ブログ
Blog

写真台紙の仕上げにもこだわりを

Sasakura Takemi

ほんの20年数前までは、写真と言えばプリントを指していました。今ではガラケーと呼ばれる携帯電話での写真もあるにはありましたが、まだまだ「写真」とは棲み分けされていた感じです。
やはり、i-Phoneが紙にとどめを刺したと言えるでしょうか。

とは言え、今なお記念写真の分野では、紙焼きプリントにその生態系を維持しています。理由は色々あると思いますが、やはり手に取れる形が受け入れやすいのでしょう。

私達、柿の木坂写真工房では、フィルムの時代から続く良き伝統は残しつつ、新しくともそれが伝統的手法やその目的を凌駕するものであれば、かなり大胆に取り込んで、昔の言葉で言えばアウフヘーベンとでもいいますか、とにかく一歩でも半歩でも維持向上させるようにしています。

此処での目的とは、写真をみらいに繋ぐという一点に集約されます。場所も取り面倒にも思えるプリントをして台紙仕上げするのは、デジタルデータとまだ完全には折り合いを付けられないからなのかなと感じます。

こうした記事をブログで発信すること自体が、デジタルである事はさておき、100年の単位でものを考えるときに、石頭にどちらか一方を選び給えと問われれば、間違いなくプリントを手にすると思うのです。電気もスマホもコンピュータも何もいらずに直に見られる写真。
いざとなれば、金より塩や水を選ぶ。写真にも同じような究極を問う潜在能力が備わっていると思いませんか。

だから、その大前提を覆すことがあってはいけません。
だから。見た目に解らなくとも酸を含まない用紙を選び、写真を固定するテープにさえこだわるのです。

解らなくともと言う言葉には、実は「今は」という前置詞がふさわしいのです。

柿の木坂写真工房の仕事は、細部へのこだわり、それは500年続く工房でありたいから。5世紀先の工房の継承者に恥ずかしい思いはさせたくない。5世紀先のお客様の子孫はもとよりのこと。

今はまだ、デジタルのポテンシャルに完全に期待することが出来ないでいる柿の木坂写真工房がいます。

Back