面白くて二度読んだ。NHKのドラマで見たのが93年頃。当時まだ珍しかったBSテレビを何気なく見ていたら、たまたま始まったのが「エトロフ遙かなり」と言うドラマ。もともと北海道好きな私。どれどれという具合に見たのがそもそもの縁。たまたま見たのがラッキーな事に第一話だった!ドラマは四週だったか四日だったか忘れたけど、ともかく四回の放送で内容的にはかなり濃く、現地の背景描写や時代考証等も非常に正確で、個人的に今またみたいドラマと言えば真っ先にあがるほど印象に残るものとなった。
その原作が今回読破した「エトロフ発緊急電」なワケですが、内容そのものはドラマ化される小説のほとんどのケースと同様、原作の方が複雑でより詳細な描写をしているにもかかわらず、不思議とドラマの方に深みを感じる珍しい後味。決してこの原作が稀薄と言うことではないのだが、おそらくテーマが壮大すぎて一冊の文庫本にまとめるには荷が重かったのかも。その点ドラマの方は内容をかなりダイエットして描写したため(切られた箇所に作為は感じつつも)詳細に凝縮されたのではないかと思う。ハッキリ言えば原作を上回る出来と言って良いだろう。
ともかくお薦めの一冊