少し気が早いけど、この秋からの新しいプランを考えています。一つは構想2年のスロウプラン。これは手焼きらしさを追求するために「ライカ」を使って撮影するというのが目玉のプランです。ライカと言う名前は聞いたことのある人がほとんどだと思いますが、「それが何なのかは余りよく解らない。」という方が、またほとんどだと思います。ライカについての細かい蘊蓄はさておき、ここは一つ「味」というものを考えたいと思います。
写真を撮るにはカメラとレンズが要ります。カメラは基本的にはシャッターの役割をしている暗箱です。カメラそのものに求められるのはフィルムに余計な光を入れることなくかつ必要な光だけを正確に取り入れる機構を持つこと、ほとんどそれだけです。それ以外の機能はおまけといって良いでしょう。そして「味」の主役であるレンズは、本当に大雑把に言うと、光を正しく集めてカメラに届ける役割を果たします。この「正しい」というのがとてもくせ者で、なかなか「正しく」導くことは困難なのでした。レンズというものが球面であることがそもそもの苦難の始まりで、それをして色や明るさやゆがみなどをきちんと補正してフィルム面に結ぶことは本来不可能な挑戦です。さればその不可能を如何にゼロに近づけるか?という努力がレンズ設計者の腕の見せ所だったわけですが、その点では日本人は数学的にまじめすぎたようでした。結局ライカやツァイスなどドイツの光学技術が、ゼロをあきらめ人間の目に違和感無い落としどころを見つけたように思われます。1930~50年ころの話です。
この落としどころが実に絶妙で、それが今でも「味」として生きているのです。憎めない癖と要ってもいいでしょう。今のレンズは設計がコンピュータでなされていますので、光学的性能は当時のライカやツァイスを遙かに凌いでいます。しかし「味」は無味に近いものになってしまいました。全てにおいて優秀なのでどこも文句があるわけではないのです。綺麗だし。でも癖のあるボケ加減や、画面の四隅の流れるような荒れが逆に引き立てる中心部など、昔のレンズ独特のおもしろさは在りません。
ブライダルにこそこういうビンテージ物はあうのではないか?と私はずっと思っています。三年くらい前まではツァイスレンズをつかったコンタックスプランというプランも実施しておりました。コンタックスプランはとても好評でしたが、機材の修理費用がプラン価格を大きく超えてしまうためなかなかすぐに取りやめました。それが今ライカで復活しようとしています。
「スロウプラン」M3型とM6型で望みます。しかしライカはマニュアルフォーカス、マニュアル露出、マニュアル巻き上げ&巻き戻しと速写性に欠けるため、フォトグラファー二人で撮影します。一人はライカで情緒をねらいます。もう一人はいつも通りのオートフォーカスカメラでドキュメントをねらいます。ライカで撮られるなんて普通あまり無いことです。私だったら自分のメモリアルな写真はライカで撮って残したいです。自分で自分を撮れないのが結構悔しいです。でもその分、子供の写真はライカとコンタックスばかりですけどね。
スロウプラン - 是非ご期待ください。