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フォトグラファーとして

Isao

最近は写真と言えば普通にデジタルで、フィルムを見たことがないという世代が新郎&新婦として出てきてもそろそろおかしくない。そうした世代は写真を撮ったり撮られたりと言うこともプリクラや携帯で遊びの延長上にあるものだし、だから本当はカメラが難しいものだなんて思いもよらないことかも知れない。写真は誰でも撮れるもの。カメラいや、携帯さえあれば写真に困ることはないだろう。

「だれもが失敗しないように」と言う方向でカメラは進化してきた。つまりスタート時のそれは大変に高度な知識を要する難しい機械だった。当然フォトグラファーは機械を扱うだけはなく光学、美術、数学、そしてセンス。そのいずれをも高いレベルで要求される誇り貴き職業だったはず!写真師なる称号が未だあるくらいなのだ。なのに何故?それを肝に銘じているフォトグラファーがどれだけいる?そう言う自分だって?胸が痛いし耳も痛い、情けない。恥ずかしい。

そんなことだからスマイルに反応するカメラなんてものが開発されるのだ。人の笑顔を引き出し、その刹那のシャッターチャンスを捕らえるのがフォトグラファーではないのか?いや笑顔だけではない。赤ちゃんの泣き顔だってキュートでハートウォームな瞬間ではないか?感極まって涙する新郎新婦、その両親の涙に濡れた顔や、震える背中もスマイルキャッチでは捕らえられないだろう。しかしフォトグラファーがその情けないベクトルを直ちにシフトしなければ、代わりにそうしたカメラが開発され続け、フォトグラファーという名誉ある職業は早晩駆逐されるのだ。そしてこの素晴らしい文化も。

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