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ヴェネツィア・ルネッサンスの巨匠たち

Nao

美術展にはなるべく行きたいと、可能な限り足を運ぶようにしています。この歳になって情操教育も無いとは思うのですが、人生はやはり旅のようなもので、過去に一度見た絵でも、時間をおいてまた見る機会があると異なる印象を受けるのですね。

例えば、今日は、前々から行きたいと思っていた国立新美術館で開催中の「ヴェネツィア・ルネッサンスの巨匠たち」展に行ってきました。そこで見た数々の絵のうちの数点は、約3年前それらの実家:アカデミア美術館で鑑賞したことがあるのですが、やはり違う印象で見ることになりました。旅は二度目が良い。とは良く聞く話しですが、人生を旅にたとえた芭蕉の着想には感心させられます。

旅先の美術館では、あまりに多すぎる受け取らなければならない刺激に満ちていて、だからか全てが感嘆と感動でくるめられてしまい、誰か他人の感動をトレースしている気持ちになってしまったものですが、今回は静かな感動と共に筆の跡や、色彩のコントラスト、顔料の色毎の経年変化などを考えたりと一点一点に集中することが出来ました。

中でも、特に興味をそそられたのが肖像画。ヴェネツァア派と呼ばれる画家たちは、それまでの肖像画の典型的ないわゆる証明写真に似たセオリーを打ち破り、視線を外したりという様に、自然人により近い描き方を普通にしていったようです。
テンペラから油彩へと変化するタイミングだったことも、スタイルや表現の可能性を変化させるきっかけになった事でしょう。

これらの考察は全て、私の主観。こうした自発的な感受性と思考を磨くのは本当に楽しいものですね。芸術の秋、皆さんも是非、絵画展や写真展、演奏会などと触れあってみてはいかがでしょうか?

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