人間の単純な心理。希少なほど貴重。そうした意味ではこのタンバールは、最たる物かも知れません。1930年代後半に3000本に満たない本数だけ製造され、今や80歳代も半ばを過ぎました。長寿な方にやっと肩を並べるくらいの歳かもしれませんが、この30年の使い捨てのようなカメラやレンズを見返す度に、このレンズの奇跡を祝わずにはいられなくなります。
でも、柿の木坂写真工房ではこのレンズを宝箱にしまっておく様なことはしません。このレンズは使ってこそ価値があるものだと思うからです。
独特すぎる描写は、好き嫌いがはっきりしそうです。ですが、コンピュータ設計も出来ない、フォトショップもない時代に「人を美しく撮る」そのためだけに作られたこのレンズを今使える環境に感謝してお客さまにお届けしています。