最近はデジタルの仕事がポチポチ増えてきたのですが、手焼きのイースターエッグでは、まだフィルムでの撮影が圧倒的です。撮影結果がその場ですぐにわかるデジタルは、取り返しのつかないブライダルには本当に向いていると思います。しかし、ライカの時にもお話ししましたけど、完全でないものを如何にあがいて美しく昇華させるか?がフィルム撮影の楽しさでありダイナミックなところだとも思います。撮影してネガがあがると、私たちはフィルムをルーペで見ます。ルーペも用途によって大きく二つの種類があって一つはピントチェック用。これはその名の通り撮影した駒を見てピントが合っているか確認することに重点を置いた物です。倍率は十倍くらいの物が多いです。ピントが合っているかどうかばっちり解ります。しかし、この倍率では一コマ全体を見ることは出来ません。
そこでもう一つのタイプですが、これは本来ポジ(スライドフィルム)を鑑賞する用途の物です。一コマ全体を見渡すことが出来るので、手焼きにしたときのイメージがつかみやすいのです。
写真のルーペは、カールツァイスの「トリオタール」。それこそフリー駆け出しの時に「道具だけはしっかりした物をそろえよう」と、結構無理して買った物です。
倍率は五倍です。ルーペという物はそもそも小さな物を見るために出来ているの当然といえば当然ですが、連続して長時間見ているとさすがに疲れます。この疲れは安いルーペでは、驚くほどあっと言う間におそってきます。いろいろと光学的に不足があるのでそれを補おうと、目の方でいろいろとやりくりして調節してしまうからなのだそうです。このトリオタールはその点結構いい線だなと思います。使い始めてかれこれ十年になりますが、大切に使えばあと五十年くらいは使えそうです。その前に私の目の方が衰えるでしょうね。その時私90歳。
トリオタールルーペ
2006.02.15