
写真を、未来へ届けるために。
ほんの二十数年前まで、「写真」と言えば紙のプリントを指していました。
もちろん携帯電話でも写真は撮れましたが、それは記録のための写真であり、人生の節目を残す「記念写真」とは、まだ少し違う存在だったように思います。
その後、スマートフォンの普及によって、写真は一気に身近なものになりました。
今では誰もが、毎日たくさんの写真を撮る時代です。
それでも、七五三やお宮参り、ご長寿のお祝いなど、大切な節目には今もプリントを選ばれる方が多くいらっしゃいます。
それはきっと、写真を「手に取れる形」で残したいという思いがあるからではないでしょうか。

柿の木坂写真工房では、フィルム時代から受け継がれてきた良いものを大切にしながら、新しい技術も積極的に取り入れています。
大切なのは、昔か今かではありません。
写真を、より美しく、より長く未来へ残せるかどうか。
その一点を基準に、私たちは技術を選び続けています。

写真データは、とても便利です。
遠く離れたご家族ともすぐに共有でき、何枚でも持ち歩くことができます。
一方で、プリントにはプリントにしかない価値があります。
額に飾ること。
アルバムを開くこと。
何十年も経ったある日、ふと手に取って眺めること。
電源も、パスワードも必要ありません。
写真は、そのままの姿で、未来の誰かを迎えてくれます。

だから私たちは、見えない部分にも手を抜きません。
写真用紙は、長期保存に適したものを。
台紙には、写真への影響が少ない素材を。
固定に使うテープや資材に至るまで、一つひとつを吟味しています。
今その違いは分からなくても、十年後、五十年後、百年後には、その積み重ねが写真を守ってくれると信じているからです。
柿の木坂写真工房が目指しているのは、目の前の一枚を仕上げることだけではありません。
その写真が、お子さまへ。
そして、お孫さまへ。
さらに、その先の世代へと受け継がれていくことです。
五十年先ではなく、百年先。
百年先ではなく、そのもっと先まで。
そんな未来を思い描きながら、一枚一枚の写真と向き合っています。

デジタルには、まだまだ大きな可能性があります。
私たちも、その進化を楽しみにしています。
だからこそ、これからも新しい技術は積極的に取り入れていきます。
しかし同時に、時代が変わっても変わらない価値も大切にしていきたい。
写真を未来へ届けること。
そのために最善の方法を選び続けること。
それが、柿の木坂写真工房が創業以来、大切にしている想いです。
500年後、この工房を受け継ぐ誰かが、私たちの仕事を誇りに思えるように。
そして、その写真をご覧になるご家族が、「残しておいて良かった」と感じてくださるように。
今日も、一枚の写真を未来へ届けるために、見えない細部まで丁寧に積み重ねています。


