
ブライダル撮影が難しい理由のひとつに、「暗さ」があります。
たとえば、夜のディズニーランドを想像してみてください。
ライトアップされたシンデレラ城を背景に、恋人同士で記念写真を撮ったことのある方も多いと思います。けれど、その写真が思い通りに撮れていた、という方は案外少ないのではないでしょうか。
フラッシュを使って近距離から撮影すると、人物だけが白く浮かび上がり、背景は真っ黒。シンデレラ城もぼんやりと闇の中に沈んでしまうことが多いものです。
逆にフラッシュを使わなければ、今度は暗すぎてほとんど写らない。あるいは手ブレで何が写っているのか分からない写真になってしまう。
実はブライダルの現場も、光の条件としてはそれに近い環境が少なくありません。
もちろん、「二人の顔だけを確実に記録する」という目的であれば、フラッシュを使えばある程度は成立します。
けれど、せっかく美しい会場や夜景があるのに、それらを潰してしまっては少し寂しい。
会場の空気感や光の美しさまで含めて残そうとすると、単純なフラッシュ撮影だけでは限界があります。
そこで重要になるのが「明るいレンズ」です。
これは、いわばフォトグラファーにとっての武器です。
今回使っているのは、28mm F1.4というレンズ。
一般的なデジタルカメラのレンズは、明るくてもF2.8程度のものが多いのですが、F1.4はそのさらに二段分明るいレンズです。
数値だけでは分かりにくいのですが、F2.8とF1.4では、取り込める光の量がおよそ4倍も違います。
つまり同じ場所、同じ光でも、より自然な雰囲気を残しながら撮影できるということです。
スタジオ撮影であれば、照明を自由に組み立てることができます。けれどブライダルスナップでは、環境光を自在にコントロールすることはできません。
だからこそ、機材ひとつひとつの性能が、そのまま写真に現れます。
ちなみにこのレンズ、現在はすでに生産終了となっており、入手はかなり困難です。
定価でも十分高価なレンズでしたが、今ではプレミアが付き、さらに高額で取引されているようです。
けれど、良い道具には、それだけの理由があります。
そして、そんな機材に負けない仕事をしなければならないとも思っています。


