憧れの85mm F1.2レンズと、極薄のピントが生み出す表現.2

昔から85mmレンズが好きです。

その理由のひとつは、かつて多くの写真家を魅了したツァイス・プラナーへの憧れがあるからかもしれません。85mmという焦点距離は、人物を自然な遠近感で美しく描写できるポートレートレンズの定番です。

特にF2クラスの明るい85mmレンズが生み出す柔らかなボケは、人物撮影において大きな魅力のひとつ。背景を美しくぼかしながら被写体を際立たせることができるため、女性のポートレートなどでは欠かせない表現手法といえるでしょう。

そんな85mmレンズの中でも、以前から憧れていた一本を手に入れました。

85mm F1.2。

F2よりもさらに明るい大口径レンズです。レンズを通して取り込める光の量が圧倒的に多いため、薄暗い会場でもストロボに頼らず撮影できる場面が増えます。

しかし、その大きな魅力と引き換えに難しさもあります。

F1.2では被写界深度が極めて浅くなり、ピントの合う範囲は驚くほど狭くなります。近距離での撮影では、まつげにピントが合えば瞳の奥はすでにピントの範囲外、ということも珍しくありません。

その極薄のピント面を意図的にコントロールしながら作品として成立させるには、やはり経験と訓練が必要です。

思い描いた通りの写真を簡単には撮らせてくれない。

だからこそ面白い。

機材の性能が向上しても、最後は撮る人間の感覚と技術が問われる。その難しさこそが写真の奥深さなのだと思います。

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