










またしても、おかしなカメラを買ってしまいました。
れっきとしたデジタルカメラなのですが、背面の液晶モニターが見当たりません。正確には存在するものの、標準状態では内側を向いて収納されているのです。チルト式なので持ち上げれば確認できますが、一般的なデジタルカメラのように液晶を外側へ展開して使うことはできません。
富士フイルムが何を狙ったのかは分かりませんが、「一枚一枚を丁寧に撮れ」「撮影時にきちんと仕上げろ」という思想なのでしょう。だとすれば相当にニッチですし、その理念を液晶モニターの構造によってユーザーに求めるのも、なかなか大胆な発想です。
もっとも、不便になることは最初から分かっていました。それでも何か良いことがあるのではないかと期待して購入したのです。しかし結論から言えば、特段良いことは何もありませんでした。
とはいえ、富士フイルムも「これによって撮影体験が劇的に変わる」などとは言っていません。不便になることは見たままです。その意味ではフェアだったとも言えます。
それでも発売初日に購入してしまうのですから、自分でも怖いもの知らずなのか、それとも単なる変わり種好きなのか分かりません。幸いだったのは、カメラとしての基本設計が悪くなかったことです。少々野暮ったく感じたデザインも、三日も使えば見慣れてしまいます。
ところが、期待を裏切ったのは別の部分でした。
トップカバーには贅沢にもチタンが使われていますが、プレス精度が甘いのか、目に見えて浮きがありました。さすがに看過できず連絡したところ新品交換となりましたが、交換品も多少ましになった程度。結局は「こういうもの」と割り切るしかありませんでした。
これには正直、失望しました。
Proの名を冠し、価格もまたそれにふさわしいものです。それなのに肝心の工作精度がこの水準では肩透かしもいいところです。仕事道具ですから多少のことでは驚きません。しかし、こうした部分の作り込みが甘いと、見えない部分にも何か我慢を強いられる要素があるのではないかと勘繰ってしまいます。
あまりメーカーを批判するつもりはありません。ただ、これほど高級感のある外観と高価格を掲げながら、その実態との落差を平然と成立させてしまう図太さには、ある種の不気味さすら感じました。見事にやられた、と認めるほかありません。
もっとも、写りは良いのです。
このカメラの名誉のために付け加えておけば、写真そのものに不満はありません。実用上の致命的な欠点もなく、仕事道具としての役割は十分に果たしてくれます。
だからこそ、なおさら惜しいのです。
次はもう少しだけ、細部まで作り込んでから世に送り出してほしい。そんなことを思わずにはいられません。



